2024年最新版!不動産相続の基本的な流れや必要書類とは
不動産相続の基本的な流れとは
不動産相続時は、新たに取得する方へ名義変更を行う必要があります。名義変更は「相続登記」と呼ばれており、期限内に終える必要があるため注意しましょう。本章では不動産相続の基本的な流れを紹介しますのでご一読ください。
1.遺言書を探す
被相続人が亡くなったら、まずは遺言書を探します。遺言書には主に以下の3つの種類があり、それぞれ保管先が異なります。
・公正証書遺
原本は公証役場に保管されている。正本、謄本は生前に遺言者が持ち帰っている。
・自筆証書遺言
遺言者自身がどこかに保管しており、検認(※)が必要。自筆証書遺言保管制度を活用している場合は法務局で保管されており、検認不要。
・秘密証書遺言
遺言書の存在は公証役場で証明し、保管は遺言者自身がどこかで行っている。遺言書の封紙の控えは公証役場で保管され、検認は必要。
(※)検認とは
相続人に対して遺言書の存在や内容を知らせるために行う家庭裁判所での手続きを指す。
参考URL 裁判所 遺言書の検認
2.相続人を確定させる
相続人の調査も遺言書の有無を問わずに確認を進めておきます。被相続人の出征から死亡までの戸籍謄本類を取得します。遺言書がなく、遺産分割協議をする場合は相続人全員が参加する必要があるため漏れが起きないように調べましょう。
3.相続財産を確定させる
遺産分割協議を進める場合、遺産分割協議書に財産目録を添付します。財産目録には被相続人の遺した相続財産(遺産)を載せます。プラス・マイナス財産を問わず遺産分割協議は進めるため、こちらも漏れがないように調べましょう。
・プラスの財産例…現金、預貯金、不動産、株式、車など
・マイナスの財産例…消費者金融からの借入、住宅や車のローン、知人などからの借入、滞納税など
4.遺産分割協議の開始
不動産を含む被相続人の財産を相続人の誰が、いくら相続するのか決める際には、遺産分割協議を行います。遺言書がある場合は原則遺言書の内容に沿って分配するため、遺産分割協議は不要です。
遺産分割協議は相続人全員で協議をする必要があり、不参加の方がいると無効となるため注意が必要です。(※相続放棄をした相続人の参加は不要)
5.相続登記をする
不動産を取得する方は、被相続人名から名義変更をする必要があります。この手続きを「相続登記」と呼びます。後述しますが相続登記には期限があるため、忘れないようにご注意ください。
6.必要に応じて相続税申告をする
相続財産が多い場合には相続税の対象となる可能性があります。相続税は非課税となる財産、葬儀関連費用や非課税財産を除いたものが対象です。
相続税には基礎控除があるため非課税となる方が多いですが、不動産がある場合は相続税対象となる可能性があるため、慎重に計算を行いましょう。
・相続税の基礎控除…3,000万円+(600万円×法定相続人数)
また、不動産には控除や特例も用意されています。申告の際には税理士に相談しアドバイスを受けましょう。
2024年最新版!相続登記時の必要書類と注意点
相続登記を行う際には、どのような必要書類や注意点があるでしょうか。この章では必要書類一覧表を中心に、手続きの注意点も紹介します。
必要書類一覧表
必要となる書類は主に以下のとおりです。
必要書類名 | 取得できる場所 |
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 各市区町村役場 |
・被相続人の住民票の除票 | 〃 |
・相続人全員の戸籍謄本 | 〃 |
・遺言書 | ある場合のみ |
・遺産分割協議書 | ある場合のみ |
・相続関係説明図 | 相続人側で作成 |
・固定資産税評価証明書 | 不動産の所在地の市区町村役場 |
・相続登記申請書 | 法務局HPで取得可能 |
・相続人全員の印鑑証明書 | 遺産分割協議書がある場合のみ |
・法定相続分どおりに相続する場合…不動産も取得する場合は遺産分割協議書や遺言書は不要
・遺言書がある場合…遺産分割協議書は不要、遺言書は必要
・遺産分割協議の場合…遺言書は不要、遺産分割協議書類と相続人全員の印鑑証明書が必要
遺言書によって法定相続人以外の方が不動産を取得する場合は、受遺者となる方の戸籍謄本と住民票が必要です。
相続登記時の注意点
①費用
・登録免許税
・必要書類の収集代
・司法書士に依頼する場合はその報酬
登録免許税は取得する不動産の固定資産税評価額に、税率0.4%を乗じることで計算されています。2024年現在、条件が整っていれば非課税となる可能性があります。この免税措置は2025年(令和7年)3月31日までが期限です。詳しくは以下リンクをご確認ください。
参考URL 法務局 相続登記の登録免許税の免税措置について
②期限
相続登記は2024年4月1日より義務化されています。
相続・遺言で取得した不動産を取得した方は、所有権取得を知った日から3年以内、遺産分割協議によって取得した場合は、成立日から3年以内に登記する義務があります。
正当な理由なく手続きが遅延した場合は10万円以下の過料が科せられる恐れもあるため注意しましょう。
(2024年4月1日以前に発生した相続・遺言によって取得した不動産も相続登記義務化の対象です)
相続登記に移る前に|知っておきたいトラブルとは
相続で不動産を取得し、相続登記に移る前には知っておきたいトラブルもあります。これから先も大切な不動産を有効に活用していくためにも、トラブルを回避できるように相続準備を進めましょう。
相続人が暮らしていた不動産を巡って争うトラブル
生前から相続人が暮らしている不動産が相続対象となり遺産分割協議時に争いとなるケースがあります。
例・亡父と同居していた長男が、引き続き亡父が所有していた不動産の取得を希望、非同居だった次男も取得を希望し対立する
例・亡母が長女に建ててくれた建物がある。亡母名義であり、相続財産に含まれるため建物を巡って長女以外の相続人も取得を希望し、話がまとまらない
このようなケースは生前から話し合うことで、回避できる可能性が高いトラブルです。遺言書の活用なども有効な方法でしょう。
共有分割のトラブル
複数の相続人で1つの不動産を共有状態にするとき、売却や活用時に思うように話が進まない可能性があります。誰も活用できない不動産になると、空き家化するおそれもあります。
将来的には相続人が増えてしまうリスクも高いため、できる限り避けることが無難です。
代償分割のトラブル
代償分割は特定の相続人が不動産を取得したら、その他の相続人に対して金銭などを支払ってバランスを図る相続方法です。代償分割は引き続き暮らしを継続したい相続人が、その他の相続人に支払うことで解決できるため、広く利用されています。
しかし、代償分割のための資金が無ければ実現できない可能性があります。あらかじめ相続に備えて不動産を取得したい方は資金を用意しておく必要があります。
換価分割のトラブル
不動産を誰も取得希望しない場合には、換価分割という方法で解決を目指す方法もあります。不動産を売却し、売却代金を分けるものですが、将来的に価値が高まる不動産を手放してしまうおそれがあります。また、収益のある不動産に転用できる場合もあるため、本当に売却してもよいか慎重に判断する必要があるでしょう。
まとめ
本記事では2024年最新版の不動産相続の基本的な流れや必要書類を紹介しました。2024年は相続登記の義務化がスタートしており、以前よりも早急に相続登記を進める必要が生じています。必要な時期を迎えたら、早急に手続きを進めましょう。
相続時の不動産の取得にはさまざまなトラブルが予想されます。大切な財産をこれからも有効に活用するために、生前からの対策や話し合いが大切です。