親の不動産がわからない!相続財産調査のヒケツを紹介

親の不動産、どこにあるかわかっていますか?

相続が開始されると、相続人の皆様は被相続人の財産についてどのような種類があり、いくらの価値があるのか調べる必要があります。親が亡くなり、財産を相続する際には「不動産」がどこにあるのか調べて、相続手続きを進める必要があります。

しかし、子どもの立場であっても、親が所有していた不動産の詳細までは知らないことも少なくありません。自宅や運用していたアパートまでは知っていても、親がかつて相続していた地方の田畑などを子どもはまったく知らなかった、というケースも少なくありません。

親の不動産は見落としやすい財産

親の不動産は意外と相続時に見落としやすい財産です。見落としてしまう主な理由には、以下が挙げられます。

・子どもの独立を願い、あえて不動産の所有を知らせていなかった

・相続対策をしておらず、不動産の情報を親子間で共有することなく死去してしまった

・親自身が所有している不動産の存在を忘れていた

不動産は価値のある資産のため、子どもが浪費しないようにあえて存在を伝えない方がいます。また、相続対策を進める前に亡くなってしまい、不動産の情報を親子間で共有できていないケースもあります。

不動産によっては非課税のものもあるため、親が所有している不動産の一部を忘れているケースも少なくありません。預貯金や株式は通帳や証券、取引履歴などで把握できますが、不動産は固定資産税に関する資料などを見つけて、立地を特定する必要があります非課税の不動産が見つけにくいため注意が必要です。(不動産の調べ方や注意の詳細は後述します)

不動産の相続漏れが起きるとどうなる?

不動産の相続漏れが起きると、以下の問題が発生しやすくなります。

・相続登記漏れ

・相続税申告漏れ

・遺産分割協議漏れ

不動産を相続すると相続登記をする必要がありますが、見落としていると登記漏れが起きてしまいます。また、相続税計算に不動産が含まれていなかったら申告漏れになってしまうおそれもあります。

不動産の調査漏れがあると、遺産分割協議時にも影響します。誰が相続するか話し合っていないため、発覚後に再協議をするなどの対策を講じる必要もあります。(※)

(※)遺産分割協議後に新たな財産が見つかった場合に備えて、遺産分割協議書に記載する条項を工夫しておくことで、再協議を不要にすることも可能です。

確実な相続手続きのためにも相続財産調査をしよう

不動産はもちろんのこと、被相続人の財産を漏らさずに相続手続きを進めるために、相続開始後は「相続財産調査」をすぐにスタートさせることが大切です。

相続財産調査とは、被相続人の財産(遺産)を調べることです。相続財産には不動産や預貯金などのプラスの財産だけではなく、滞納税や未払家賃などの負債も含みます。遺産分割協議や相続税申告、相続登記などに欠かせない作業です。もしも財産の調査に悩んだら、司法書士や行政書士などの専門家に相談することもおすすめです。

亡親の不動産を調べよう|相続財産調査4つのヒケツとは

亡くなられた親の不動産所有状況について調べるためには、さまざまな書類をお手元にご準備いただく必要があります。そこで、この章では不動産探しの欠かせない4つのヒケツをご紹介します。

1.固定資産税納税通知書を見よう

毎年春頃に届く「固定資産税納税通知書」には、固定資産税・都市計画税の課税対象になっている不動産が記載されています。課税されている所有者氏名や土地・家屋の所在地、地番などが分かりやすく記載されているため、相続する不動産の特定に役立ちます。

東京都23区内に所在している固定資産の証明・閲覧は以下をご確認ください。

参考URL:東京都主税局 固定資産 証明・閲覧とは

2.登記簿謄本を取得しよう

固定資産税納税通知書などを通して所在が特定できている不動産があったら、登記簿謄本で再度確認しておきましょう。登記簿謄本を取得することで、不動産の権利関係がわかります。登記簿謄本の見本は以下リンクからご確認ください。

参考URL:法務省 全部事項証明書(不動産登記)の見本

3.名寄帳を取り寄せよう

固定資産税納税通知書だけでは、非課税の不動産が記載されていないため、相続するべき不動産を見落とすおそれがあります。非課税の不動産であっても、もちろん相続の対象です。

そんな時におすすめしたい方法が名寄帳です。

名寄帳とは、各自治体で作られている固定資産税課税台帳を所有者ごとに名寄せしてある書類です。横浜市など、一部の自治体では名寄帳であっても非課税の不動産は記載されていないものの、多くの自治体では「管轄の自治体内にある不動産」であれば非課税であっても掲載されています。私道や山林などを特定できる書類です。

亡くなられた親が普段は縁遠い地方に不動産を所有していた可能性がある場合は、その地方にある自治体に名寄帳を請求する必要があります。

なお、名寄帳に記載がないエリアの場合、公図などの活用で不動産を特定する方法も考えられます。

4.不動産の売買契約書関係書類を探そう

不動産の取引を多くこなされていた方の場合、売買契約書等の関係書類が不動産の特定につながる場合もあります。金庫や机の中などに保管しているケースも多いため、入念に調べてみましょう。

親の不動産を相続する際の注意点

亡くなられた親の不動産を相続する際には、以下2つの注意点を押さえておきましょう。

先代・先々代等の名義の不動産は見落としやすい

固定資産税納税通知書などに、亡くなられた親の親、つまり相続人からすると祖父母や曾祖父母にあたる方のお名前が記載されていることがあります。すでに鬼籍に入られている祖父母など名前があったら生前に親が相続していた不動産であり、今回の相続で子が相続することになります。

相続登記がなされていない不動産ですので、今回の相続で相続登記を行いましょう。ただし、多数の相続人がいる可能性が高いため、登記完了までに時間がかかることがあります。

■注意!

固定資産税納税通知書は、代表して納税している方にしか届かないため相続時に見落とすおそれがあります。親が亡くなったら、親の兄弟姉妹などに共有名義になっている不動産はないか確認しておきましょう。

非課税の不動産も相続対象

非課税の不動産も相続対象であり、遺産分割協議時には相続人間でどうするか話し合う必要があります。非課税の不動産は相続手続きがもれやすく、多数の相続人が発生する原因になりやすいのです。次世代の方へ重い負担を残さないためにも、丁寧な調査を心がけましょう。

まとめ

この記事では、親の不動産を相続する際に知っておきたい相続財産調査のヒケツを紹介しました。不動産の中でも遠方にあるものや、先代等の名義になっているものは相続手続きが漏れやすいため注意が必要です。相続財産調査に悩んだら、司法書士や行政書士など法律の専門家に相談してみるとよいでしょう。