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夫から妻へ不動産名義を変える|相続と贈与どっちが簡単?

夫から妻へ不動産名義を変えたい!主な方法とは

夫が所有する自宅などの不動産を妻へ渡したい場合、所有権の名義変更を行う必要があります。では、不動産名義の変更にはどのような方法があるでしょうか。この章では主な方法をご紹介します。

生前に贈与による名義変更

まずは、夫婦がともに元気なうちから「生前贈与」を行う方法が考えられます。不動産の贈与は高額の贈与税が課税される可能性があるため、贈与税のシミュレーションを行った上で行うことが大切です。

死亡後に相続による名義変更

夫の死亡後に「相続手続き」の中で妻へ名義変更をする方法も考えられます。相続手続きでは不動産以外に夫が所有していた遺産についても手続きを要することや、相続税に関するシミュレーションも行う必要があります。

その他

上記の生前贈与と相続以外には、夫婦が「離婚する時の財産分与」の中で夫の不動産を妻へ名義変更することも考えられます。ただし、妻側が夫の所有する不動産を欲しいと思っても、夫側が拒否し財産分与の協議が決裂するおそれがあります。協議が難航した場合は調停や審判で解決する必要があります。

離婚時の財産分与は「離婚成立時から2年間」以内に請求しなければ権利を失うため、弁護士に相談の上で請求を行うことが望ましいでしょう。

贈与と相続ならどっちが簡単?

円満なご夫婦間で夫の不動産を妻へ渡したい場合、贈与と相続ならどちらの手続きが簡単でしょうか。この章でわかりやすく解説します。

夫婦が話し合えるため贈与はスムーズ

夫と妻、それぞれが存命のうちに話し合える贈与は、手続きがスムーズでしょう。お互いが合意しているタイミングで贈与すれば、円満に妻へと名義変更が終えられます。

遺言書の無い相続は不動産トラブルの可能性がある

相続手続きで妻が夫名義の不動産を相続する場合は、贈与以上に注意が必要です。贈与は贈与者と受贈者の双方の合意で成り立ちますが、相続は遺言書がない場合「相続人全員」で遺産分割協議を行った上で、誰がどの財産を相続するか決める必要があります。

夫婦の間にいる子はもちろん、前妻との子も相続人に該当しますし、ケースによっては妻と夫側の親や兄弟姉妹とも遺産分割協議を行う必要があります。生前に夫が「自分の不動産は妻にあげよう」と思っている場合は、遺言書で妻へ相続させる旨を遺しておくことが無難です。

贈与と相続|税金面で知っておくべきポイント

ここまでは贈与と相続の、主に手続きに関するご説明を行いました。しかし、実際に贈与と相続のいずれかを選ぶ場合には「税金面」に関することも知っておく必要があります。この章では税金面のポイントを解説します。

生前贈与時のポイント

夫婦間で生前贈与を使って不動産名義の変更を行う場合、税金面では「相続税よりも高い費用」が発生することを押さえておきましょう。贈与税を計算する必要があるほか、相続時によりも高い「登録免許税」も支払う必要があります。

■登録免許税の計算方法

取得方法税率計算方法
贈与2.0%固定資産税評価額×2.0%
相続0.4%固定資産税評価額×0.4%

また、贈与時は不動産取得税が課税されることもあるため注意が必要です。一方で、夫婦の間で居住用の不動産を贈与した際には「配偶者控除」が用意されています。

引用 国税庁No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除   婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、贈与税の申告をすることにより基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できるという特例です。

婚姻生活が20年を超えている方で、居住している住宅を円滑に贈与する場合は配偶者控除が受けられる可能性があります。詳しい要件については、以下リンクをご参考ください。

参考URL国税庁No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

相続時のポイント

相続時は以下の2点に注意が必要です。

  • 妻側が先に亡くなってしまうおそれがある
  • 配偶者控除が利用できるが、子がいる場合は二次相続対策が必要

相続時には夫よりも先に妻が亡くなってしまう可能性があります。相続対策として妻への名義変更を検討している場合、妻が亡くなると改めて対策を講じる必要があるでしょう。

妻が相続する場合は相続税を大きく節税できる「配偶者の税額の軽減」が利用できますが、子がいる場合には二次相続の対策が不可欠です。母が亡くなると子は配偶者の税額の軽減は使えないため、重い相続税が課税されるおそれがあります。

参考URL 国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減

生前贈与を選んだほうが良いケース

生前贈与を選んだほうが良いケースとしては、相続時のトラブルを回避したい場合や、早めに贈与を行い、妻が不動産を有効活用したいケースなどが考えられます。贈与税などの負担はありますが、先に述べたように夫婦双方の同意があれば贈与は完結できます。

相続時を選んだほうが良いケース

相続時は「配偶者の税額の軽減」によって、相続税が大きく節税できます。1億6000万円

もしくは配偶者の法定相続分の相当額のいずれか高い方が控除できるため、高額の不動産相続があっても相続税を大きく減らせるでしょう。

また、妻は「小規模宅地等の特例」を活用できる可能性も高く、税金面でのメリットを最優先したい場合は相続が良いでしょう。

参考URL 国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

不動産の贈与・相続は夫婦が元気なうちから始めよう

夫から妻へと不動産の名義変更を検討している場合、贈与や相続のいずれであっても、夫婦が元気なうちから話し合いを始めることが大切です。では、早めに話し合うメリットとはどのような点でしょうか。以下2点を解説します。

元気なうちに収益化もおすすめ

贈与には贈与税が発生し、登録免許税などの税負担も生じます。しかし、収益化している不動産を妻に贈与すると、贈与後の収益は妻の財産となります。今有効活用できていない不動産があったとしても、収益化した上で贈与すれば、妻の財産形成に大きなプラスとなるでしょう。不動産は今後も魅力的な資産です。収益化が気になる場合は、お気軽にお尋ねください。

認知症になると成年後見制度の利用が必要

もしも贈与したいと考えていても、夫が認知症を患い判断能力が低下してしまうと、自由に贈与契約が交わせなくなります。夫に成年後見人をつけなければいけなくなるため、資産を自由に動かせなくなるリスクがあるのです。

高齢化社会が進む日本では、認知症の高齢者が団塊ジュニアの世代が65歳以上に達する2040年において、驚くことに「584万人」[い岩1] を超えると厚生労働省が発表しており、今後認知症のリスクは増加の一途を辿ると考えられます。

早めに贈与をすることは、こうした認知症リスクを回避する方法でもあるのです。

まとめ

今回の記事では、夫から妻へ不動産名義を変更することについて、相続と贈与のどちらが簡単か、税金面の問題にも触れながら詳しく解説しました。不動産は魅力的な資産だからこそ、贈与と相続のどちらを選ぶか、慎重に判断する必要があります。早めに不動産の有効活用をご検討されたい場合は、お気軽にご相談ください。