思う事

思う事/THINK


私、白岩貢は2002年から大家業をスタートしました。

当時の若者の平均年収は300万~400万円です。ここではあえて高級志向といいますか、ある程度の広さのある部屋、デザイン性と居住性ともに高い「憧れの部屋」に需要があると考えました。アパートのある場所も「若者が住んでみたい」と思う、目黒・世田谷に絞りました。こうして、私がはじめて企画した世田谷区の吹き抜け型アパートは、当時の若者に歓迎されました。ちなみにこのアパートは、10年以上経過した今でも家賃11万円で満室です。

しかし、この10年を振り返ってみると、サブプライム問題にリーマンショックと続き、2011年の東日本大震災と、たくさんの試練がありました。そして2014年は、消費税のアップ。相続税の負担も大きくなっていきます。人口ボーナスの時代もはるか昔になり、今は賃貸戦国時代です。日本全国の空き家も820万戸と言われ、1000万戸を超えるのもすぐそこに来ています。大家さんも経営者として意識しないと取り残されます。

僕が大家業を始めた2002年と今年2016年との決定的な時代は訪日外国人の旅行客数の違いです。日本に2000万人もの外国人旅行客が来るとは全く予想できませんでした。いわゆるゴールデンルートに物件を持っている大家さんは一気に息を吹き返しました。それは、大家さんが認知してるかしてないに関係なくAirbnbという黒船が来たからです。これは、民泊でアパートを勝手に転貸したり、大家さんが直接経営したりと、物件の入居率が恐ろしく改善されました。

東京でも浅草などの東部地域の入居率が凄まじく上昇していますが、ゴールデンルート以外の立地は既に取り残され、相変わらず厳しい戦いが続いています。しかし、このAirbnbも既に過当競争が始まり、近い将来立地と運営センスが無いとあっという間に赤字運営になってしまうでしょう。自分が大家として、多くの物件を運営してきて思うのは、不動産屋さんと我々大家との相違です。いろんな不動産屋さんに頼んできましたが、やはり本質的な部分、職業として不動産屋をしているプロと、借金をしてリスクを独りで背負った我々大家との間には大きな溝があるように思えます。ある意味これは仕方がないことだと感じていました。

そんな中で自分が理想とする不動産屋を考えたときに、何よりも大事にするのは「入居率」です。それには企画と需要と供給の問題があります。それと「木を見て森を見ない」と同じく、建物だけを見て立地を見ないのも問題です。大家を営んでいくために重要なことは、必ず木を見て森を見ることです。大家も日本全体の流れを俯瞰して見ないといけません。

それぞれの人たちが、それぞれの分野で自分のことだけでやってしまう傾向もあります。そうではなくて入居者、不動産屋の営業マン、さらには工務店や建築職人さん、大家さんのみんながWinWinになれるようにしたいと考え行動しなければなりません。常に時代の先を読み物件企画、運営をしていきたいと考えています。

兼業大家白岩貢